サイコロジー・オブ・マネー①(読んだ本のはなし)

年始に読んだ本の1つです。

円安、物価上昇など生活の不安が高まっています。一方でFIREという言葉も一般にも認知されつつあるように、お金の「稼ぎ方」「貯め方」「増やし方」を考える機会が増えてきました。

youtubeやSNS上では、「お金」に関する成功事例が溢れています。中には詐欺と思しき宣伝もあるので要注意です。

そんな中、ベストセラーになっている本「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」を読んでみました。

*本の紹介にアフィリエイト広告を利用しています

「世界的ベストセラー」との宣伝です。これまで言われてきたことから大きく内容が変わるわけではありませんでしたが、読みやすさは随一です。総集編といった感じに読めました。著者も最初に述べているように、「だらだらと同じことの繰り返しは述べず端的に」内容がまとめられています。おすすめの本です。

全体を通じて「何を知っているか」ではなく、「どう振る舞うか」というスキルが経済的成功につながっているという主張です。

人間心理や歴史とお金との関係について20の章で述べられています。長くなるので分けてまとめてみたいと思います。

目次

第1章「おかしな人は誰もいない」:みんながそれぞれ正しい

環境・時代に影響される経済行動

人間の考え方は、知性や教育ではなく、自分の生まれや育った環境、時代に影響を受けているという主張です。一見何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、読み進めると納得です。

その人の「お金」に関する行動は「経験」をもとに決定しているそうです。経験には個人的な経験以外にも、時代での出来事も含まれます。例えば、80年代生まれの私は、バブル崩壊・リーマンショックを経験していますが、少し前の世代になればバブル時代を経験しています。そうすると、受けた教育がたとえ同じでも全く異なる経済行動をしてしまう可能性があります。

正しい、正しくないではなく、お金に関する考え方が全く異なるのでそもそも良い悪いも評価できないということになります。

金融教育がほぼなかった時代に生まれてきたので、お金について学べるようになったのは大人になってからでした。子供のうちから学んできれば全く異なる人生だったかもしれません。

そして人は「自分の経験に基づいたストーリー」を語ることで自分自身を納得させ、行動に反映させていきます。それはその人にとってはどこまでも「正しい」判断になります。もはや「客観的な正しさ」という概念は分からなくなってきますね。

宝くじを買うのは誰?

宝くじを買うのはどんな人?

宝くじ当たって欲しいけど、実は買ったのは1、2回

アメリカでは低所得者層は平均412ドルを費やしているそうです。そして一般の人の4倍に当たるそう。低所得者層に400ドルも貯金がないことからすると、これは一見不合理としかと思えません。しかし、低所得者層からすれば、これは妥当・合理的な行動ということになります。働けど働けど・・・という生活の中では「大逆転」を狙うには宝くじしかないからだと。

これはなんとなく分かってしまう気がします。

全く余談ですが、最近アンジュルムというアイドルの「悔しいわ」という曲を偶然聞きました。

歌詞が印象的で調べてしましました。40代でも共感できる曲すごいですね。まさかアイドルソングを聴く日が来るとは・・・!

今時の若い子が他人と比較してジェラシーを表現する曲です。歌詞の中に人生大逆転するには「史上最高額の宝くじに当たるとか」「強運」が欲しいというと文があります。思わず共感してしまいました。宝くじに当たるというのは株などの資産形成を行うよりも可能性が低いと言われていますが、大逆転を夢見てしまう気持ちはわかります。

ここで6億当たれば・・・と思ってしまいますが、これも私の生まれ育った環境や経験してきた時代背景の影響を受けているのかもしれません。

ちなみに最近ロト6を購入しましたが、惨敗でした笑。ワイワイ買って楽しかったのでまた挑戦しようかとは思っています。

第2章まとめ「運とリスク」:なぜビルゲイツはお金持ちになったのか

運とリスクは紙一重であり、運を真似ることはできないことをよく知っておくべきという主張です。

幸運とは何か?

ビルゲイツがお金持ちになったのは、もちろん彼の才能にもよりますが、実は学生時代に通っていた学校に当時ほとんど導入されていなかったPCが偶然導入されたという当時では希少な偶然に遭遇していたという背景があったそうです。またゲイツと同じような才能に恵まれていた同級生は実は学生時代に亡くなっているそうです。

「何事も良くも悪くもない」「物事が順風満帆に行っているときにも、自分が思っているほどうまく行っているわけではない」「成功をもたらしたのが運であるならばそのすぐそばに「リスク」がいることを忘れてはいけない」

なるほどさすがと思わせる言葉ですね。

成功したとしてもそれに奢らず、また失敗したとしても努力を怠らないことが重要と思います。経済的行動以外にも当てはまる人生哲学かもしれません。

人生では、自分の力でもどうしようもない不運に見舞われることはあります。それは偶然なのか、自分の判断が間違っていたのか、それは永遠に分からないこともあります。

そして成功した誰かの真似をしようとしても、不運に見舞われることもあります。極端な例を真似をしていけない。それは運を真似することになるからです。

著者が息子へあてた手紙の中に

あらゆる成功が努力によるものでもないし、あらゆる貧困が怠惰によるものでもないことを知っておくべき」という文章がありました。その通りですね。

運についての本は中野信子さんの「科学がつきとめた「運のいい人」」もおすすめな本です。運を掴むには性格や行動、習慣が重要ということがわかります。

第3章まとめ「満足できない人たち」:十分ということを知ることの重要性

客観的に見れば十分な富を得たにもかかわらず、さらなる「経済的成功」を求めたことから失敗してしまった例を冒頭に挙げています。

まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」

もっともっと、あの人と同じくらいというように比較し続けても満足できることはありません。もっともっとと求めていく結果、大切な物を失うこともあるというのは知っておくべきですね。

4つの格言がまとめられています

  • 動き続けるゴールポストを止めろ
  • 富の比較ゲームに参加してはいけない
  • 吐くまで食うな
  • 大きな利益が得られる可能性があっても危険を冒す価値がないことは多い

第4章「複利の魔法」:継続は力なり

小さな変化が大きな変化をもたらす

ウォーレンバフェットが数年投資をするのが遅かったら?早期リタイヤしていたら?現在の資産は全く異なっている計算になっているそうです。ハードディスク容量の変化の過程も同じ。ここ数十年で当初信じられないような変化が起きていますが、これらも複利の効果ということになります。

小さな変化を繰り返すことの重要性が強調されています。複利の持つパワーを無視して一気に変わることを望んでも良い結果は得られません。

良い投資とはちょっとずつを繰り返していくこと、これも良い人生哲学だと思います。

ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」 

継続することの難しさは誰もが経験していると思います。いかに習慣とするかが大切ですが、そのヒントが語られています。

第5章「裕福になること、あり続けることは異なる」:失敗しないことの重要性

傲慢さを捨てる

お金を得ることと維持することは全く別になります。勇敢さで得た金銭を、そのまま維持するためには、謙虚になること、成功は決して繰り返さないということを肝に免じることが大切だと主張しています。

また計画に重要性にも触れ、「臨機応変に行う、ゆとりのある計画を立てる」ことが重要だとしています。

楽観主義になれ

楽観主義とは?何でもかんでも大丈夫と信じることではなく、例え短期的に不幸が訪れても、長期的に見れば成功できると信じることをいうとされます。

ワンコは大体楽観主義なのかな?そうでもないかも?

第6章「テールイベントの絶大な力」:失敗が多くても大丈夫

投資家にとって大切なのは、技能??運??

大事とされがちなこの2つですが、実はそうではない、「テール」だというのです。

テールとは、結果の分布図の最後尾の部分を指す言葉を言います。要は例外的なイベントのことを言います。

たくさんの失敗があってもただ1つの成功があれば、大成功をもたらすことがあるということです。

美術商の例が挙げられています。

優れた美術商は気になる作品を根こそぎ購入し、大量に長期保存するそうです。そのうちの1作品がヒットすることをじっと待つ。これが大成功のコツだというのです。そしてこれは投資家も一緒。

物事の多くは失敗することは当たり前ということを重々承知していなければならないのです。

全体の1%以下の行動が投資の成否を決める

周りの人間が正気を失っている間に普通のことをいかに行うかが大切。ナポレオンの主張だそうです。

1900-2019年まで(1428ヶ月)毎月1ドルずつ貯金したとするこのうち、景気後退期間は300ヶ月

米株式にただただ投資を続けたAさん・・・43万ドル

景気後退したら株式を売却し、毎月1ドル貯金。回復後に全て株に投資するBさん・・・25万ドル

Bさんと同じ行動をそれぞれ6ヶ月の期間を置いてから再投資するCさん・・・23万ドル

上記の例では一見Bさんが正しいように見えます。実際にはCさんの行動をほとんどの人が行う可能性あり。真剣にやればやるほど、Bさん、Cさんの行動になりそうです。ただ、結果的に正しかったのはAさんでしたという結論。

これは米国株式市場が上昇し続けたというイベントがあったからこその結果という気もしないでもないですが、まとめると小さくでも続けること、失敗は当たり前だと思うことが大切ということであるかと思います。

第7章「自由」:お金から得られることは?

FIREが流行している訳は「時間の自由」を得たいと考える人が多いからです。

幸福感は「自分で自分の人生をコントロールしていること」から得られるということに反対する人はいないと思います。

想定外のイベントが起きてもお金があれば、対処できる。病気になったり、不幸があったり、仕事をクビになったり・・・ただ蓄えがあれば、次の準備をいくらでもすることができます。

いくら物質的に豊かな生活を送っていても時間がない、好きな人と過ごせない、好きなことをできないというのではそれは不幸です。

そして、「金持ち争わず」という言葉があります。これは私見ですが、大人になっていろんな人と接するうちにこれは本当だなと思いました。お金があれば余裕が生まれ、人にも寛容になれるというのは本当だと思います。

著者が紹介している本「1000人のお年寄りに教わった30の知恵」全員が裕福さよりも人との関係を大切にしなさいと教えるそうです。

似た本に「死ぬ瞬間の5つの後悔」という本があります。終末期看護を行う著者の本です。やはり同じような内容で、死ぬ前にもっと働けばよかった、もっとお金を稼げばよかったという人はいない。もっと子供や家族との時間を大切にすればよかったという人が大半。人との関係を大切にしようという内容になっています。ややスピリチュアルな内容もありますが、こちらもお勧めの本です。

第8章「高級車に乗る人のパラドックス」:富を求めても他人から称賛は得られない

自分を着飾っても他人から称賛は得られません。

どうしたらこんな車乗れるの?ってよく思いますよね。

他人からの承認を得たいのであれば、外見ではなく内面を磨くべきだという主張です。

確かに人は見た目が9割という主張もありますが、これもブランドで表面を装おうというものではありません。

承認欲求を満たしたいがために高級品を身に着けることは理にかなっていないことになります。

第9章「本当の富は見えない」:wealthとrichは異なる

1億使いたい(rich)というのと、1億円を手に入れたい(wealth)というのは全く異なることです。

richな人というのは例えば、高級車に乗り、高級な服を身につけているのですぐにわかります。一方でwealthは目に見えません。しかし、将来手に入れられるものが大きいのはwealthな人たちということになります。

ダイエットするときのことの例が挙げられています。

激しい運動をしている人でも運動したから大丈夫だと食べてしまう人がいます。なぜ痩せられないのかと嘆きます。これはお金を頑張って稼いでいるのに、(お金を使ってしまうから)貯金が貯まらないというのと同じです。

エクササイズをしたから(お金を稼いだから)、食べて良い(浪費しても良い)と考えてしまう人がいわゆるrichな人。一方でエクササイズをして(お金を稼いで)さらに満腹になるのを我慢する(浪費しない)という思考回路を有する人は適正な体重と健康を維持できる(富を築ける)というのがwealthな人です。

頑張って稼いだから、自分にご褒美」思考は自分にもあるので(何度もやっているので)、反省です。

これは全くその通り。どうしても人は自分に甘くなりがちなので、気を引き締めなくてはなりません。

10章以降は後半に・・・

20章まである内容なので、また分けてまとめたいと思います。

今年は資産形成についてさらに勉強して実践したいと考えているので、年始に読むにはとても良い本だったと思います。おすすめです。

にほんブログ村 その他日記ブログ ひとりごとへ
よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次